内資系企業医薬品部門の研究所で、企画業務を担当しているけんたです。部署の名前は、「研究企画」といいます。
企画がつく部署名というと、経営企画、事業企画、商品企画などが思い浮かびます。
これらの部署は、
- 経営企画=会社の経営戦略について企画する
- 事業企画=事業戦略や新規事業を企画する
- 商品企画=新商品、モデルチェンジを企画する
のように、「何を企画するか」がわかりやすいですね。
では、「研究企画」では何を企画しているのでしょうか?
この記事では「研究企画では、何を企画しているのか」について説明します。
「研究企画が企画するもの」を知ることで、研究所の中で企画部門がどのような役割を果たすかが見えてきます。
研究企画では、何を企画しているのか
「研究企画」という言葉から、「研究を企画するのだ」といわれても、なんだかぼやっとしていて、イメージはしにくいですね。
実は、研究所の研究員でも、企画部門の仕事の中身を把握している人は少ないです。
私も、研究員時代には「企画の人は忙しそうだけど、オフィスの中で何をしているのだろう」と思っていました。
研究企画が何を企画しているのかを、一言で書くとこんな感じです。
「研究員では対応できない研究上の課題の解決法」
研究所において、研究の主役は、言うまでもなく研究員です。
研究員は、多くの専門知識と実験技術をフル活用して、新薬創出における研究テーマやプロジェクトのアイデア出し・計画策定や、実行上の様々な研究上の課題を解決することが求められます。
しかし、研究員だけではできないことは、たくさんあります。このようなときこそ、研究企画の出番です。
研究企画が登場する代表的な場面を3つ挙げてみると、こんな感じです。
- 新規研究テーマの立ち上げ
- 社外とのコラボレーションの立ち上げ
- 研究所の研究方針の策定
以下、簡単にこれらの場面での研究企画の仕事を紹介します。
新規研究テーマの立ち上げ
研究所は、新薬を開発する場所です。ですから、研究所には、たくさんの新薬研究テーマやプロジェクトが存在します。
しかし、新薬開発の成功確率は非常に低いので、研究テーマやプロジェクトの中止は日常茶飯事です。ということは、常に、新しい研究テーマを企画・実行しなくてはいけません。
新規研究テーマのアイデアを出すのは、研究現場の最先端にいる研究員です。しかし、研究員だけでは、新しい研究テーマを立ち上げるのは至難の業です。
新薬開発には、多くの部署が関わります。これらの組織を研究員のアイデアとうまく結びつけることで、初めて研究テーマが成立します。たくさんの組織の間に立ち、うまく道筋を作るのが研究企画の仕事です。
社外とのコラボレーションの立ち上げ
研究所では、様々な専門分野の知識と実験技術を持つ研究員が研究活動をしています。
しかし、これらの優れた研究員がいたとしても、なかなかクリアできない課題というのはどうしても出てきます。
自分たちで時間をかけて粘るというやり方はありますが、競争が激しい新薬開発では「時間もコスト」と考えなくてはいけない時もあります。
そんなとき、「自分たちが持っていない技術が使えればなぁ」と思うのは自然な流れです。
そんな研究員の思いを受けて、外部から適切な技術を見つけ出し、コラボレーションを企画して実行に持ち込む、これも研究企画の仕事です。
研究所の研究方針の策定
研究所は、「何でもやりたいことをやれる場所」のように見えます。しかし、企業の研究所では、なかなかそういうわけにはいきません。
なぜなら、ビジネス面での目標を「研究」という手段で達成するのが研究所に与えられた使命だからです。
そのため、ビジネス面での目標を達成するため、「研究」をどのような方針で行うかを決めることになります。その方針の中では「やりたいことをやれる」というわけです。
このような研究所の研究方針を策定するのも研究企画の仕事です。
患者人口の推移、新薬からジェネリック医薬品へのシフト、医療政策の変化など、外部環境変化を考慮して、どのような病気にどのような薬が求められるか、を考え、研究員と議論したうえで、大きな方針を作ります。
一度作った方針は、毎年見直しを行い、どんどんアップデートします。研究所を常にフレッシュな状態にするためにも、この作業は重要です。
まとめ
研究企画が企画するのは、「研究員では対応しきれない課題解決の方法」です。
研究企画では、研究員の優れた研究能力を最大限に活用するため、様々な部署の専門性を活用しながら、最大限のサポートをしています。