内資系企業の医薬品研究開発部門(研究所)で、企画業務を担当しているけんたです。
企画部門という部署の特性上、他社製品の情報収集はルーチンワークとなっています。単調な調べ物の中で一息つきたいときには、医薬品の商品名(商標名)の由来を眺めたりしています。
医療用医薬品(医師の処方箋により使用される薬剤、処方薬とも呼ばれます)の中には、商品名の由来を簡単に調べられる薬剤がたくさんあります。
商品名の由来を見ると、製薬会社の薬剤に込めた期待、アピールポイント、薬の特徴などが感じ取れ、なかなか面白いです。
この記事では、医療用医薬品の商標名の由来を調べる方法を紹介します。
商標名の由来は「医薬品インタビューフォーム」に記載される
「医薬品インタビュフォーム」は、製薬会社が製品ごとに作成する医薬品解説書で、医薬品使用に関わる様々な情報が項目ごとにまとめられています。
インタビューフォームの定義
添付文書等の情報を補完し,薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に必要な医薬品の品質管理の情報,処方設計のための情報,調剤のための情報,医薬品の適正使用のための情報,薬学的 な患者ケアのための情報等が集約された総合的な個別の医薬品解説書
引用元:製薬協 医薬品インタビューフォーム作成の手引き(改訂版) P1
インタビューフォームは、医薬品ごとに作成され、共有のフォーマットで情報が記載されています。
このフォーマットの中に「名称に関する項目」という項目があり、商標名の由来は「販売名」の項目に記載されています。
「医薬品インタビューフォーム作成の手引き」では、名称の由来の記載について、
①販売名称の由来が明らかな場合は記載する.
②名称の由来が不明の場合は「不明」,特に由来がない場合等は「特になし」と記載する.
とされており、多くの医薬品でインタビューフォームに名称の由来が記載されています。
商品名の由来の見つけ方
商標名の由来はインタビューフォームに記載されているので、名前の由来を知りたい医薬品のインタビューフォームを探します。
医薬品インタビューフォームは、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)のWebサイトの「医療用医薬品 情報検索」というページで検索する事ができます。
- 「医薬品の添付文書等を調べる」という欄の「一般名・販売名(医薬品の名称)」という入力欄に商品名を入力
- 「検索結果一覧で表示する文書を選ぶ」のチェック欄で、インタビューフォームにチェックが入っていることを確認
- ページ中央の「検索」ボタンをクリック
- 検索結果画面の「インタビュフォーム」の欄のリンクをクリック(商標名が同じなら、どのリンクをクリックしても同じ文書が出てきます)
- ダウンロードされたPDFファイルの「名称に関する項目」を見る
インタビューフォームは製薬会社のWebサイトからも見ることはできますが、PMDA経由のほうが一発で検索できるので楽です。
商品名の由来の例
いくつか、商品名の由来を挙げておきます。
商品名 | 名前の由来(インタビューフォーム記載) |
アリセプト | Aricept の[Ari]はアルツハイマーを、[cept]は(アセチルコリン)レセプターをイメージしている。 |
ブロプレス: | ブロ:ブロック(BLOCK)
ブロプレス:血圧(BLOOD PRESSURE) つまり、アンジオテンシンⅡ(AⅡ)受容体部位に作用し、AⅡをブロックすることによって血圧を下降させる薬剤です。 |
タケプロン | タケプロン:タケダのプロトンポンプインヒビター |
ここに紹介した例は、薬剤の作用メカニズムに基づいて命名された薬剤です。商品名からだけではイメージできませんが、言われてみれば「なるほど」と思えますね。
まとめ
医薬品の商標名の由来は、インタビューフォームに記載されています。インタビューフォームは、PMDAのWebサイトから検索、確認することができます。
商品名の由来には、薬剤の作用メカニズムなどが反映されている事が多いです。薬剤名を覚える参考になるかもしれません。