新薬の研究開発に携わる社員は、臨床試験に進める新薬候補化合物を探す「研究職」と、臨床試験などにより新薬候補化合物を製品に仕上げる「開発職」のどちらかに分類されます。
一方、研究所の企画部門で働く社員は、実験室での実験はしません。オフィスや出張先でのペーパーワークが業務のほとんどを占めます。
それでは、研究所の企画部門で働く社員は、どのような職種に分類されるのでしょうか?
私の勤務先では、「研究職」とみなされます。
この記事では、企画部門の社員が「研究職」とみなされる理由を分かりやすく説明します。この理由を知ることで、研究職のキャリアパスも垣間見えると思います。
企画部門の社員が「研究職」とみなされる理由
企画部門の社員が「研究職」とみなされるのは、ほとんどの人が「元研究員」だからです。
企画部門の社員のキャリアパス
- 入社後、研究員として研究所に配属
- 一定期間、新薬開発の研究に従事
- 人事異動により企画部門に異動
そもそも、私の勤務先の企画部門では、新入社員を採用しません。これは、研究企画の業務には、「新薬開発に関する十分な経験」と「社内人脈・コミュニケーション経験」が必要だからです。
企画部門の業務は、「研究員では対応できない研究上の課題の解決法」を企画することです。
「研究上の課題」を正確に理解するためには、新薬開発に登場する様々な分野の基礎的な知識が身についている必要があります。また、業務経験により、机上で身に着けた知識は、実際に使える知識となります。
「研究上の課題」の重要度・優先順位を見極めるには、研究テーマやプロジェクト全体を俯瞰して、他の課題とのバランスを見極める能力も必要です。この能力を付けるには、ある程度の実務経験が必要です。
「課題の解決法」は一人だけでは見つけ出すことはできません。課題解決に、多くの研究員の助けが必要だったり、複数部署の調整が必要な場合には、研究員生活で築いてきた社内人脈やコミュニケーション経験が大きく役立ちます。
このように、研究職時代の経験をフル活用して企画業務に取り組んでいるからこそ、企画部門の社員は「研究職」とみなされます。
多くの経験を持つ「元研究員」だからこそ、様々な課題について、効率的に整理・考察し、解決に向け多くの人を巻き込む行動がスムーズにできるのです。
まとめ
研究員時代の経験・スキルを活かしつつ課題解決を行う研究企画部門の社員は「研究職」とみなされます。
「研究上の課題」を正確に理解し、重要度・優先順位を見極める、「課題の解決法」を組織として効率よく考える、などの研究企画に必要なスキルは、研究員自体の業務経験があってこそ素早く身に着けることができるのです。